2021.01.06 いつの間にか10周年

日記
いつの間にか10周年
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昨年末、怒涛のような忙しさで、すっかり忘れてしまっていたのですが、「U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術 」が出版10周年を迎えておりました。

英治出版さんから「10周年おめでとう!」のグリーティングカードを年末にいただいていることにすら気づいておらず、大掃除の時に封筒を開いて初めて、「あ、10年なんだ」と思った次第です。

2010/11/16に出版した本書は出版されましたが、「なんとしても、翻訳書を出す!」と決意した2007年当時は、あまりに難解な上に、売れるとは到底思えなかった学術書なので、出版してくれる会社はなかなかないだろうと思っていました。

で、もともと懇意にさせていただいていた英治出版の 原田英治さんに相談に行かせてもらったところ、「ブックファンドなら出版してもいいですよ」ともちかけられました。

ブックファンドは、英治出版さんが当時取られていた手法(今も取っていらっしゃるかもしれませんが)で、「この本の翻訳書を世の中に出したい」と思う人たちで共同出資して、書籍を出すという形態のものでした。

当時はまだクラウドファンディングもなかった時代ですので「出資を募って出版するというやり方をしていたら、時機を逃すな」という直感が働き、出版にかかる費用のすべてを自費で出すことに決めました。

結果的に、販促費などは英治出版さんの方からもかけていただいたと思いますが、基本的に翻訳権の取得、翻訳の下訳費、印刷にかかる費用などの一切は、私が個人で負担したという感じです。

当時、名もない個人事業主に過ぎなかった私からしてみたら、そこそこの高級車一台が買えるような金額をどーんと払ったという感じでしたし、そんな大きな投資をしたことは一度もなかったのに、「ここで、勝負に出ないでいつ出る!」という勢いで一人出資を決めました。

しかも、厄介なことに、翻訳権取得に際して、他社からも名乗り出ていることがわかり、コンペ状態になり、翻訳権料が吊り上がり、当初予定していた金額よりも100万円近く金額があがりました。その時も「いったれーーー!!」という勢いで、ほぼ感覚がマヒしていました(笑)が、無事翻訳権を取得しました。

価格を決める際にも、原田さんから「この本は700ページ近い本になって、学術書として位置づけられるようなものになるとおもうので、読む人だけが読むものと思って6,000円とか金額を高くするか、それともできる限りリーゾナブルなものにするか」と相談されました。

金額を高くすれば、当然売れませんが、売れる冊数が少なくても投資額を解消できる可能性が高まります。で、金額を安くすれば当然、損益分岐点は遠のきます。

その時にも当然、迷いましたが「一人でも多くの人に届けたい」という思いから、リスクがある「リーゾナブル路線」を選びました。(といっても、3,800円なので決して安くはないですが)

そんなこんなで、「売れない前提」で、赤字にしかならないことを覚悟して漕ぎ出した船出ですが、出版が決まって半年もしない間に、神田正則さんが自身のオーディオブックで「今後10年をリードする書籍になる!」と大絶賛してくれたことで、一気に注目度が上がりました。

彼のオーディオブックの中では、原書を読んで「この書籍は来る!と思って翻訳権を取ろうと思ったら、すでにどこぞのコンサルタントが翻訳権を取っていた」と紹介されていました。

結果、2010/11/16に無事、出版されましたが、わずか1か月で2010年に英治出版で一番売れた書籍になりました。

その後、英治出版さんのおかげで、数年かけて無事損益分岐点を超え、書籍だけで黒字化しましたが、私の人生にとっても分岐点になったことは間違いありません。

特に、印象に残っているのは、出版の約4か月後に東日本大震災になったことでした。

U理論が伝えようとしている世界観がまさに、これからの世の中に必要になることを痛感し、「U理論は、世の中に届けられるべくして、届けられたんだな」と思ったのを今でも覚えています。

あれから10年。

当時の自分では想像もつかないくらい、U理論はグランドセオリーとしていろんなところで知られるようになり、コロナ禍になったことでさらに、注目を集めています。

10年以上前から著者であるオットーシャーマー博士たちが鳴らしていた警鐘は、現実のものとなり、より事態は厳しいものになっているように感じますが、それと共に、新しい可能性が出現しているのも感じます。

この次の10年は私たち人類にとって、残されたわすかな機会を生きる時期になるかと思います。

問題から目を背けず、そして問題に溺れることなく、可能性の未来を皆さんと共に迎え入れ続けたいと思います。

改めて、この場をお借りして英治出版の皆さん、支えてくださった皆さん、PICJメンバー、そして実質の翻訳者であるみいちゃん(由佐 美加子)に心からの感謝をお送りたいと思います。

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