インテグラル理論とは?

部分最適を真に超える
包括的、統合的な視座とアプローチ

theory_03.png

インテグラル理論とは、アメリカの現代思想家ケン・ウイルバーによって提唱された統合的・包括的なメタ理論(思想)であり、人間・組織・社会・世界を統合的、包括的にとらえるためのフレームワーク、地図であるといわれています。

彼は、哲学、心理学、人類学、社会学、宗教、生物学、システム科学など、人間に関わるあらゆる主要な知識領域からの重要な洞察を織り合わせ、「人・組織・社会の健全な発達のモデル」を示しました。

インテグラル理論は、問題解決やアセスメントを目指す様々なアプローチがどのような領域を扱うことになるのかの位置を地図として示し、それらを体系的に包含して、より深くまで相互に関係づけることを可能にします。そのため、21世紀に私たちが直面する複雑な課題に対して、より効果的に対処できる可能性を秘めているといわれています。

なぜ、今、インテグラル理論への注目が産業界を中心に広がっているのか?

インテグラル理論は1977年にウイルバーによって著された「意識のスペクトル」に端を発し、その後発展を遂げ続けています。最初の発表時点から、既に約50年たっていることからも、新しい理論だとはいえませんが、その難解さ故に日本では大きな広がりを見せてきませんでした。

その難解さに加えて、産業界においてはマネジメントの複雑性が比較的乏しかったことから、必要性が生じにくかったという背景も一般的に知られなかった理由になります。

日本では長らく日の目を見なかったものの、インテグラル理論が「ティール組織~マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現~」(フレデリック・ラルー著 英治出版)の土台になっていることから着目され始めています。

インテグラル理論で中核を占める概念として、「レベル」という発達段階に関するものがあります。その概念がティール組織の中で適用され、組織にも発達段階があると示されたことで、自社が抱えている病理に対する納得や望ましい組織への憧れが抱かれやすくなったことで急速な広がりが生まれました。

また、ティール組織がブームになるのとともに、組織の発達段階という感覚的に馴染みやすい領域がフックになったことで、敷居が低くなったこともインテグラル理論の広がりの要因となっています。

しかし、それはあくまでブームの表層に生じている出来事にすぎず、その根底には、インテグラル理論が注目されやすい社会情勢、ビジネス環境があったと考えられます。

それは世界が複雑化、多様化したことにより、外的な領域だけに着目したアプローチに限界が生じていることにあります。

何かの構造物を創ったり、テクノロジーに頼ったりする解決策は、一見前進しているように見えますが、複雑に絡み合っている現代においては、気候危機に代表されるようなマクロ的な副作用による影響が甚大かつ急速にミクロな領域に対してもインパクトを与えるようになっています。

それは企業経営にとっても例外ではなく、激動する状況の中にあっても進化し続けられることが問われています。

そうした「激動の中における進化」を可能にするためにも、より包括的、統合的な視座によってこれまでの限界を超えたアプローチが潜在的に求められており、インテグラル理論に注目が集まりやすくなっているのだと考えられます。

インテグラル理論は組織運営・マネジメントにどのように役立つのか?

インテグラル理論の中ではAQAL(アクオール:全象限・全レベル)と呼ばれる統合的観点があり、その視点に立って物事をとらえれば、世界の森羅万象を包括的にとらえられるだけでなく、より調和のとれたアプローチが可能になるとされています。

ビジネス領域においては、論理的思考による合理性が重視されやすくなりますが、そうしたアプローチの有用性と限界についてインテグラル理論では明らかにされています。

世界やビジネス環境が複雑になればなるほど、多様な観点、価値観、利害が存在し、これまでの解決策のレベルでは問題を解決できるどころか、より問題を悪化させるということが生じえます。

そうした状況になればなるほど、論理思考や物理的な構造に頼った問題解決だけでなく、個人の内面、文脈、文化的変容をも視野に入れたアプローチが必要となりますが、インテグラル理論ではそうした統合的な実践のヒントを得ることができます。

インテグラル理論に基づいた組織運営・マネジメントはどのように実現できるのか?

インテグラル理論は難解な抽象概念であるが故に、組織運営・マネジメントとして使いこなすには練習が必要です。

そのため、AQALの中でも問題解決に関連の深い、四象限とレベルを中心に活用することをお勧めします。

四象限は下図のように、起きているマネジメントの問題症状をマッピングしていくことにより、事象を網羅的にとらえられる上に、その因果関係をつなぎ合わせていくことで、より幅広く、深さを持って洞察を得ることが可能になります。

図1:四象限分析の活用例(ケース:若手の離職が増加し続けている)

AW_diagram_02.png

また、ティール組織でも活用されているレベルは発達段階の地図として参考にでき、それぞれ固有の限界を知ることができることから、そのレベルを超えて含むために、どのような課題にチャレンジしていけばよいのかのヒントを得やすくなります。