INTERVIEW

組織変革事例ー 株式会社キャプティ様

経営側の視点を転換することが組織変革の起点に
​~個人のパーパスを発見・共有し、組織のパーパスを紡ぎだす~

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  • プロフィール:株式会社キャプティ 代表取締役社長 菊山 嘉晴 氏

1983年4月東京ガス入社。2015年4月東京ガスエンジニアリングソリューションに企画本部長として出向。
2017年4月キャプティの代表取締役社長に就任。

 

  • 企業紹介:株式会社キャプティ

1961年 東京ガス100%子会社として設立。首都圏中心に都市ガスや温水の配管工事、電気工事や給排水工事、空調機器の販売や設置工事、機器メンテナンスや土木工事など、都市ガス周りを中心に事業活動を行う。
2019年度から日本製鉄グループの日鉄パイプライン&エンジニアリング(株)の出資も受け、「エネルギーの未来を見つめ、環境に優しい街づくりを支える」理念の実現に取り組む。

​問題はどこにあるのか?という視点を転換させると真因が見えてきた

— 組織変革を始められたきっかけを教えていただけますか。

キャプティに着任した時に最初に感じたことは、マクロ的に大きな変化が起きていくことが頭で分かっているはずなのに、何も準備が出来ていないということでした。例えば、これから高齢化や少子化が進んでいく、つまり人口が減っていくわけです。我々の仕事はライフラインなので、人口が減るイコール仕事が少なくなってくるのですが、それに対して準備ができていない。着任して最初の1年間は、みんながどう受け止めているのか、どうしていきたいのかを聞いても、なかなか答えが返ってこないという状況でした。これを何とかしたい。せっかく多くの社員がキャプティを選んで入ってくれたのだから、やりがいを持って会社生活・仕事生活を楽しんでもらいたい、という思いで始めました。


今でこそ利益が上がる会社になりましたが、当時は親会社の政策変更等により足元に火がついていた。なので、まずは利益を回復させよう、安定的に利益が出る会社にしように思って、悪いところを直していこうというのが改革のスタートでした。 

 

— どこに問題を感じられたのでしょうか。

 

ひとことで言うと、「会社として、組織としての体を成していない」というのが、キャプティの問題だったんです。本業で利益が出ていないのに、それが問題視されていない。改革の中で営業利益率の目標も作りましたが、それに対して、一般社員ではなく管理職以上からの反発がありました。「そんな事は今まで言われた事が無い」「我々はコストセンターだから利益を出す必要が本当にあるのか」などと真顔で言われてしまい、正直なところ困惑しました。普通の会社組織として、判断する軸みたいなものが共有されてないと感じました。

 

しかし、問題の原因はプロパー社員の側ではなく、自分も含めて親会社から出向してくる役員や幹部の側にあるのではないか?あるいは、経営の仕方に問題があるのではないか?という視点でものごとを見返してみると、いろいろと見えてくるものがありました。経営陣はチャレンジしろとか、変えろとか号令はかけるのですが、実際やってみると「なんでそんなことをするの」とか、「そんな事やらなくて良いから目の前にある工事を仕上げろ」とか、そんなことを誰かが言ったりしている。自分たち自身の中で話が噛み合っていない。  

そこで、決める立場にある人間、権限がある人間から変わっていく必要があると思い、キャプティの健康診断というのをやりました。組織風土や経営の仕組みに関する60数項目の問題点を洗い出して、数ヶ月かけて管理職以上で見てもらって、本当にそう思うかどうか聞きました。みんなが、これは問題だと言い出してくれたので、2年目から改革をスタートさせました。 

 

— どのあたりに変化を感じられますか。

 

組織に何か不満足なことがあるとしたら、影響力のある経営陣や管理職側に非があると思った方がいい。“上”がちゃんとしてないとダメだと。そして“上”の筆頭は自分である、と。そんなふうに考え、2年くらい前から四半期に一度、本部長と私が一対一で話す1on1ミーティングをやっています。普段も話しているんですけど、1~2時間じっくり話していると、また見えてくるものが変わってくる。本部長には、部長とマネージャーとそれぞれ四半期に一度1on1をやってもらって、ずいぶん風通しが良くなった。いい意味で下から突き上げが来るので、我々経営側も当事者意識がさらに高まっている。自分達が変わらないと会社は変えられない、と感じることができるようになってきました。 

 

研修等も含めて様々な取り組みを3年間やってきて、会社全体で仕事の面については共通の軸が出来たと思います。ただ、会社のビジョンに関してはこれからです。世の中が大きく動き始めていることもあるので、社員全員でキャプティとはなんぞや、というお話を進めています。    

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一人ひとりのパーパスを探求することで、組織のパーパスが見えてくる

— 現在は、組織のパーパスを見つけることに取り組んでいただいてます。どのようなことが、この取り組みにつながっているのでしょうか。
 

キャプティに来たばかりのとき、社員との対話集会でこんなことを言われたんですよね。「歴代の社長は大体3年で変わっていく。3年で中計作って、これまで言ってたことが変わって、それをやり切らないうちに次の人が来て、中計作って、また新しい人が来て、新しいことを言う。あんたもそうか?」と。 

その時、方針の変更にも理由があれば良いじゃないか、と開き直った一方で、やっぱり脈々と流れるキャプティとしての企業文化というか考え方がしっかり存在しないと、生え抜きのメンバーが右に行ったり、左に行ったり混乱するんだろうな、とも思いました。基礎になる一つの柱みたいなものをつくらないといけない、と感じました。 

— そのような組織の柱となるパーパスをつくる上で、まずは幹部の方、ひとりひとり個人のパーパスを見つけるところから始めさせていただきました。やってみてどんな風にお感じになられていますか。
 

「仲良くなった」というのとは微妙に違うんですが、幹部同士で共通の価値観を共有できている感覚が強くなりました。もちろん意見が合う、合わないはありますが、トコトン話せるようになったと思います。以前にも、経営層は社員が頑張ってチャレンジ出来るようにサポートしようじゃないか、という共通の行動指針みたいなものをつくって確認したことはありますが、今回共有できた感覚は、使命感のようなものであり、微妙に違いますね。

あと、自分自身が実際にやってみて、色々なことに気づきました。「覚醒する」感じというのでしょうか。やっている途中は苦しく感じることもありましたが、嬉しさや楽しさ、雲が晴れていく感覚がありました。  

— このパーパスの探求を組織全体に広げていこうと思われたのは、どうしてですか。
 

自分自身そうなんですが、普段あまり深く突っ込んで考えていないこともあって、色んなものに流されてしまいます。本当はそれぞれの頭なのか心なのか分かりませんが、色んな欲求や色んな思いだとか夢だとか悩みだとかがあると思うんですけど、きちんと自分でも把握出来ていない。やってみると、びっくりするような思いが自分の中にある。 

これはみんな体験するべきなんじゃないのか、素直にそう思ったということですね。それと、各自の存在意義を自分で見つけ出して、それを集めてみると、意外と会社共通のものになっていくんじゃないかという、そういう感覚がありますね。   

組織変革には「粘り」が必要。
環境を作ってあげれば、みんな勝手に動く。 

— これから変革を進めていこうとする企業の方へメッセージをお願いできますか。

どういう風に進めるか、何をやるかは、それぞれの企業さんの歴史やご判断があると思いますので、あくまでも弊社の例は参考例だと思います。弊社の役員の共通のパーパスは、「人を信じて、人の力を引き出していこう」となりましたが、正しい経験が出来る環境を作ってあげれば、みんな勝手にやるんですよ。その環境を作ってあげるか、それとも「こうしろああしろ」というかの違いだと最近は思っています。

それには、覚悟というよりは「粘り」が要ります。社員が進めていることに対して、「どうせそこまでやるなら、ここまでやれば?」と思うことも多いですが、そういうふうに言うと、こちらの指示を待ってしまいます。ある程度自由にやってもらい、一つ成功体験をしたら次のステップをこうだね、と。思ったよりは時間がかかりますが、そういう粘りや、早い段階で担当レベルと話をして発射台を高くしてあげるとか、そういうちょっとした作戦が必要だと思います。変化を感じろ、頑張れ、なんとかしろと言ったところで、人は動かない。主体的に能動的に動いてもらうためには、何をどういう風に仕掛けていくのかが良いかを、オーセンティックワークスさんにも教えて頂きましたし、色んな本を読んで、面白そうだと思うことは試してみたりしています。勉強とチャレンジが一番必要なのは経営者かなと思います。 

—本日は貴重なお話をありがとうございました