INTERVIEW

組織変革事例ー欧州医療機器メーカー 日本法人

リーダーの変容がチームの進化を引き起こす
​~組織開発プロジェクトから始まったリーダーシップの旅路~

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INDEX

1.背景・課題

当時、こちらの企業様では、グローバルでのブランド統一に取り組んでいくなか、度重なる経営層交代や株価の下落などが起きていました。また、もともと転職が多い業界ではあるものの、当時の離職率は16%という状況になりました。 

そんな中、グローバルの本部側からの要請で日本法人における次期経営人材の育成が命題に。 

外資系特有のエンゲージメントの弱さを社長のパーソナルな魅力でカバーしながら運営されていたのですが、その負の側面として役員層に指示待ち体制が残ってしまっていました。 
次の社長を担える人材を早急に育成しなければならないという背景の中、オーセンティックワークスにお声がけいただきました。 
当時の状況からその後の変化について、代表取締役社長にお話を伺いました。 

 

― 当時の状況や背景、課題感を教えてください。 

改めて思い起こすと、私自身のエグゼクティブチームへの期待が強すぎるあまりに、皆さんの「こうなりたい」という思いを持ちづらくしていたのではないかと思います。

今にして思うと、やはり私が手綱を離していなかったなと。

 当時は、すべての役員メンバーの行っていることを把握し、自分の意見も反映させていて、主導権を委譲していなかったというふうに思います。  

先ほどの「手綱を持っていた」というのを言い換えると、かつては、私が思う『正しいこと』『こうすべきだということ』が強く存在していた状態でした。例えば彼・彼女たちが問題を抱えているとき、当時の自分は「なんでこんなのがわからないんだろう?」というスタンスで相手に接していましたから。 

2.取り組み

​(1)組織開発プログラム

先の背景・課題を踏まえ、最初のステップとして 

「強くてしなやかな軸を確立し、エグゼクティブチームとしての共創基盤を確立する」 

ことをプログラムコンセプトとした組織開発プログラムをご提供させていただきました。 

 
 

​図.組織開発プログラム実施内容

組織開発プログラム実施内容_欧州医療機器メーカー日本法人様事例(Authenticworks inc.)

©Authentic Works inc.

― プログラムが始まってからの、皆さんの状況はいかがでしたか? 

始まってすぐの頃は、みんな「こんなの無理だ」と思っていたことと思います。私のように強烈なリーダーシップを、同じように取るのは無理だ、と。 

ワークショップを進めるうちに、我々の進みたいステップを飛行機になぞらえて「Take off」「Up Lift」「Orbit」「Auto Pilot」となるようにしていこう、というコンセプトがメンバー全員から浮かび上がってきました。こうなっていかないと、当社の持続可能な成長はできないという意図です。 

そして、この4つはいわば「How」なのですが、それぞれをどうやっていくか、というところで「それをコンダクトしていくのは社長だ」という期待を皆がしていたと思います。

導いてくれるのは社長の仕事だよね、と。

共創しあう関係性は、そのころは出来ていなかったように思います。社長が頑張るだろうからそれに応えればいいよ、という感じで、彼らの側にも甘えはあったのではないかなと思います。 

― その状況も踏まえて、「ここがポイントだった」と印象に残っていることはどんなことでしたか? 

オーセンティックワークスさんに実施していただいたプログラムの中で一番強烈に印象に残っているということでもあるのですが、対話セッションのワークショップで、中土井さんに突然「ちょっと黙っていてください!」と言われたことですね。 

ワーク中、他のメンバーに訊いているのに私の喋る時間と語気が強すぎる、ということを感じられたためだそうで、中土井さんもとっさに出た言葉だったようなのですが。 

ただ言われたその時に、それは中土井さんから出た言葉ではあるけれど、本当は、それぞれのメンバーが胸の内に秘めていた『声』だったのでは、という気づきがありました。

皆が意見を言える場を、私のほうが作っていなかったのだと思ったのです。 

長い時間、ずっと国内では一番強い立場で、権限も責任も何もかも持っている社長としての自分が言えない状況を作っていたのではないかと思っています。これまで空回りしていたなあと。

権限を渡し、『私がいなくても“Auto Pilot“(自動操縦)にしたい』と言いながらも、私がパイロットの席を譲らずステアリングを持ったままになっていた。

みんなを本当の意味で活かす形を、自分が本当には望んでいなかったのではないか?ということが、一番気づいたことです。

​(2)エグゼクティブコーチング

”自身の変化こそが、部下たちの変化の鍵となる”

― 組織開発プログラムの次のステップとして、エグゼクティブコーチングをご提供させていただきました。ここでの体験は、どのようなものでしたか? 

 

実は以前にも、1年半くらいの期間でエグゼクティブコーチングを受けていましたが、その期間はずっと【あるべき論】として役割を果たしていたなと思います。  

自分とやり方は違うけれど、当時のコーチは「『それ』がグローバルのリーダーシップの標準です」と言う。もう聞けば聞くほど自分自身が辛くなってきて。その「グローバルリーダーの標準です」というのが、トップダウンのような、プレッシャーを受けているような感じがあった。でも、変わらなければならない、という感覚をこれまでのコーチングやセミナーを受講するたびに感じていました。  

 

ですが、U理論と知り合って、自分自身の内省、自分への気づきが始まったときに、「あれっ?」と。『こうあるべき』『こうしなきゃいけない』そういうのにがんじがらめになって、『自分はこうしたい』というのを部下にもフランクに、オープンに言えていない自分がいたことに気が付いたのが、一番の気づきだったと思います。 

―「やらねば」サイクルではなく、「やりたい」サイクルとして行動する、という変化があられたんですね。これまで受けられたコーチングと比べて「オーセンティックワークスはここが違う」と感じられた点はありますか。それは、どのようなことでしょうか? 

 

コーチングセッションはこれまで何度か受けた経験がありますが、オーセンティックワークスのコーチングはそれらとは180度違いますね。

とにかくコーチの方に「本当にそう思っているのですか?」と何度も聞かれました。聴かれるうちに、私も「本当にそう思っているのだろうか?」「本音はどこにあるのだろう」と、考えるようになっていきました。自分の中で何度も何度も会話をして、私が思っていることをお伝えする。それを何度も繰り返していくうちに、役割として持っている義務とか権限、立場から離れて素直に思うことが引き出せるように変わってきた、という体験をしました。 

 

これまでのワークショップやコーチングは、「これが標準」「これがゴールドスタンダード」というパターンがあるものが多いように思います。

そのような講座は、過去の経験や例など、そういうものをずっと聞いていくのですが、全然入ってこない。 

でも今回のコーチングは、自分の本音、心の底がどこにあるのか?というのを話す機会でした。本当にどうしたらいいのだろう、自分は本当にどう思っているのだろう、という自分との対話の時間を一番取ることができて、これまでのものとはアプローチが全然違いましたね。  

 

​(3)リーダーシップ・シフトプログラム

リーダーシップへの旅路へと続く

― 個人としてリーダーシップ・シフト プログラムのベーシックコースとアドバンスコースも受講していただきました。それぞれ、どのような体験がありましたか?

シンプルに言うとベーシックコースは「自分への気づき」のためのワークショップだったと思います。

そしてアドバンスコースは「集団の中にいる自分への気付き」ですね。

フィールドガーディアン(※)も体験させてもらいましたが、その立場で参加者の様子をみていると人間はこんな風に変わっていくんだ…ということが本当によくわかりました。

人間ってすごいな、って。 

何かの本で読んだことがあるのですが、「人間は、自分が体験したことしか学べない」と。

オーセンティックワークスさんのワークショップは、まさにそれを体験させてくれる場だと思います。様々な体験をし、話すことで、自分が気付く。それから、自分は変われる自分であるということに気づく、そういう場を与えてくれたと感じています。 

 

社内のほかのメンバーにも受講を勧めています。このプログラムを日本の企業で働く人すべてが受講したら、もっと日本は良くなるのではないかなと。 

外資の企業で働いていると、すごくピュアな気持ちで仕事をしている人が多いように思うのですが、それと比べると、日本企業は、忖度というか、「こうあらねば」とか、「社長や部長はこう言うだろう」というのが出来上がっていて、自分を活かせない。組織構造や、役割と責任に、がんじがらめになっていると思います。 

社会の中にそういう要素があったとしても、全部取っ払って自分らしさや自分のいいところ・悪いところを全部さらけ出していいとなれば、チームも会社も明るくなって、結果的に世の中がもっと明るくなると思っています。 

(※)フィールドガーディアン
弊社の個人向け講座では、当日の運営サポートを講座卒業生の希望者の方にお願いしております。 
そして、単なるスタッフではなく “場を守る”役割であるという意図から、フィールドガーディアンと呼称しています。

 

3.その後の変化について

― 組織開発プログラム、エグゼクティブコーチング、そしてリーダーシップ・シフトプログラムの受講と様々な機会を経て、ご自身と次世代経営チームの皆さんにはどのような変化として現れていると感じられていますか? 

一番のシフトは、私が変わらなきゃ、と決めたことだと思います。 

プログラム開始当時は、このポジションを退くのは寂しいと思っていました。

17年以上このポジションにいたので、自分の中でそのポジションを離れるということが想像できなかったですし、私自身にも、会社に対しても不安がありました。 

様々なプログラムを経て、3年経った今は、早く譲りたいという気持ちが本音としてあります。そして私自身も次のステップに行きたい、もっと成長したいという風に、純粋に思っています。

経営チームへのかかわり方も変わりました。かつては部下たちの問題に対して「なんでこんなことが分からないんだろう?」と思っていたのですが、今は、『その問題は私の問題である』という感覚で、まるでその人の中に入っていくように一緒に考えて気付きを与えるというアプローチに変わりました。 

かつては私自身の経験、知識を元にして私の意見を出していたんですね。

今は逆に、その人たちの声を聴いて、どういう問いかけであれば彼・彼女がそこに気づくだろう?ということを考え始めました。相手に内省を促す問いを出せるように変わってきたかな。エグゼクティブチームの皆さんもそう感じられているんじゃないかなと思う。

お互いの中で化学反応のようにやってきた3年間だったなと思います。私も変わって、そして経営チームの皆さんもじわじわと、ワークショップを終えてから成長してきたな、というのを凄く感じました。  

「責任は私が社長として取るから、まずは話してもらって、あなたがそれをやりたいと思ってやってみればいいよ、頑張れ」と言えるようになりました。相手も、寄り添ってくれる、守ってくれる、という感覚を持ったのではないかな。  

だから、徐々に各ステップでケミカルシフトできたという感じがある。いまは、まさに“Auto Pilot“に向かって動き出している状況だと思います。 

  

実際に、業績も上がってきていて受注、利益も伸びています。  

なにより、従業員のエンゲージメントスコアがどんどん伸びていますね。  

「この会社で働きたいですか」「この会社を人に紹介したいですか」「この会社は自分を成長させられる場所になっていますか」というサーベイがグローバルであるのですが、日本での回答結果が過去3年間で伸びてきています。  

― エグゼクティブチームだけでなく、その先の職場や従業員の方にも影響が表れているんですね。  

  

エグゼクティブチームメンバーが、私の変化を感じ取って自身を変化させている。 

それを見て、彼らの職場のまた下の立場の人たち、そしてそのまた下の立場の人たちが、希望を持つようになったのではないかなと、そう思っています。 

― 今回は貴重なお話をありがとうございました。 

 

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