2019年4月7日
中土井 僚「日々是内省」
昔から、「中間管理職の『悲哀』」という言葉で、上司と部下の間で板挟みになる微妙な心境は表現されてきました。
そして、今、働き方改革が本番を迎える中で「中間管理職の『悲劇』」ともいうべき事態が繰り広げられ始めているようです。
残業規制(時間の上限)と働き方の多様化(空間の拡がり)に代表される働き方改革は、管理職に大きな変革圧力を強いています。
時間と空間の両方に影響を与えていくこの改革は、単に部下に無理をさせられないという以上の難題を突き付けています。
それは、「文脈の形成」つまり、意思疎通や信頼関係の構築を困難にさせるというものです。
実際にファシリテーションの現場において、状況的に追い詰められているように感じ、思い詰めている管理職に会う頻度は増えています。
彼らは上層部からの成果プレッシャーに加え、矢継ぎ早に打ち出される変革方針と、部下からの突き上げや離職等により翻弄されているのが伝わってきます。
マネージャの「抱え込み」という現象は、1990年代までは部下を信用できず、仕事を任せられない人の代名詞として語られていました。
2000年代以降は、「答えのない時代」に突入したことで、自分自身も解がわからないために、部下に仕事を振ろうにも振れないという状況になっていました。
そして、今は「文脈の形成」ができないために孤立し、追い詰められているが故に、抱え込まざるを得ない状況になりつつあります。
「丸投げ」というやり方で隠し、先送りにしてきた「文脈形成力」の未熟さに対して、時間の上限と空間の拡がりの中で、それを高めざるを得ないことを突き付けているのではないでしょうか。
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